統一地方選2019

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県議選振り返る記者座談会

2019年4月9日

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 七日投開票された県議選では、自民が議席を拡大し、旧民進系の「新政あいち」と公明は現状維持、共産は議席を失った。過去最多の無投票当選や過去最低の投票率、女性議員の減少など、浮かび上がった県議会の課題とともに今回の選挙戦を県政担当記者が振り返った。

◆全国唯一の共産ゼロ

 記者A 共産は立候補した十人全員が落選。非改選のところも含め、都道府県議会で「共産ゼロ」は全国で唯一となる。党内には来週からの統一地方選後半戦や夏の参院選への影響を懸念する声が広がる。この四年間に多くの請願を取り上げるなど「県民の声を届けた」と訴えたが、支持は広がりを欠いた。浮上には政策や戦略の練り直しが求められるだろう。

 記者B 終わってみれば、最大会派の自民が前回より議席をやや増やして五十七議席を獲得し、過半数を維持した。でも選挙期間中は、一人区や五人区などで議席を落とすとの観測も広まった。そうした選挙区には無投票当選した議員らも応援に入り、候補者と死に物狂いで訴えに回っていた。どの政党にも追い風がない無風選挙だったために、自民が底力を見せた形だと思う。

 記者C 改選前と同じ三十四議席となった第二会派の「新政あいち」は、勢力拡大はならなかった。初の地方選で接戦とみられた選挙区でも、ふたを開けたら自民に大差をつけられていたケースも。国民民主の支持率低迷を背景に無所属で出た候補も多く、支援する連合愛知の組織票以外に支持を広げられなかったと言える。初の地方選に臨んだ立憲民主も思ったより伸びなかった。

 A 公明は「議席が危ない」と危機感をあおりつつも、結果的には安定した戦いぶりだった。

 B 減税日本の議席確保は驚き。名古屋市議選での河村たかし市長の影響力が波及したと言わざるを得ない。各党さまざまな要素があるが、県議会の構図は変わらないだろう。

◆議会改革、待ったなし

 B 女性候補は二十一人が挑んだが、当選者は現職の五人のみ。全国的には当選者の女性比率が過去最高に上ったが、愛知は前回より三人減り、比率は4・9%に後退した。

 A 与野党とも女性の新人は全員が敗れたが、選挙区によっては想像を上回る善戦を見せた。女性ならではの視点、課題意識に期待して票を投じた有権者は多いはずだ。最大勢力の自民の女性候補は三人だけ。女性が立候補しやすい環境づくりと合わせ、各党は引き続き女性の積極的な擁立を目指してほしい。

 C 本紙の立候補者アンケートでは、各国で成果を出している「クオータ制(人数割当制)」で女性比率を決めることに、当選者の十一人が賛成だった。賛否を留保した人が多いが、女性増に向けた議論が深まることを期待したい。

 B 今回は五十五選挙区のうち、過去最多の二十六選挙区で四十一人が無投票当選した。自民の勢力が強い地域の一人区や、自民と新政あいちで議席を分け合う二人区で、他の候補が現れなかった。投票率の低さにもつながったと思う。

 C 選挙で多様な意見を戦わせることは民主主義の原点。選挙区を統合して定数が多い区を増やすなど、次の県議選までには選挙戦になりやすい環境を整える必要がある。総定数一〇二を大幅に減らす代わりに報酬を増やすとか、政令市での県議の役割は何かなど、議会のあり方もぜひ見直していってほしい。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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