統一地方選2019

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「名古屋城復元」だんまり 市議選、争点化避ける

2019年4月5日

 統一地方選の名古屋市議選(7日投開票)で、名古屋城天守の木造復元事業をめぐる論戦が低調だ。河村たかし市長の看板政策だが、自民、立民、国民、公明といった主要政党の候補のほとんどは沈黙を守る。異論を抱えながらも、市長との全面対決は避けたいと、予算案を容認してきた経緯が背景にある。木造復元には有識者も「(天守の土台となる)石垣の保全が不十分」などと指摘。先行きを見通せないだけに、関心を寄せる有権者には歯がゆい選挙戦だ。

 名古屋城そばで、西区選挙区の主要政党の現職が花見客に向け演説した。城をいかした観光施策を語ったものの、木造復元には触れなかった。

 木造復元には自民などの内部にもかねて、2022年末完成を目指す日程に無理があるとする意見や、総工費膨張を懸念する声があった。市が提出した基本設計費などの関連予算案は16年夏以降、最大会派の自民で賛否が割れるなどしたため3回、継続審査に。だが、前回の市長選を目前に控えた17年3月、共産を除く主要会派の賛成で可決された。市長選など、それ以降の選挙を見据えて「反対して市長を怒らせては、『抵抗勢力』にされてマイナス」と判断したとみられている。

 今年3月に別の関連予算案が可決された際、会派の賛成方針に納得せず、採決を退席した自民現職は市議選の街頭演説で、問題に言及。「木造化自体に反対しないが、22年までのスケジュールにとらわれ、貴重な石垣をないがしろにするのはおかしい」と説いた。

 自身も身体障害者で車いすを利用する立民現職は、木造復元される天守に、現天守にはあるエレベーターを設置しない市の方針に反発し「再考すべきだ」と主張。共産現職も「木造化をやめ、お金を福祉にあてるべきだ」と訴えた。だが、こうして街頭演説で取り上げる候補は少数派だ。

 ある自民現職は「市民の賛否が割れる話。『票が逃げるので触れるな』と支援者に言われた」と明かす。

 河村市長が率いる減税日本は、候補の共通公約には木造復元をうたう。ただ、自民などとの相違を強調しようと、議員報酬削減の訴えに時間を割く候補が多く、木造復元に関する主張はあまり聞かれない。

 (谷悠己)

 <名古屋城天守の木造復元> 名古屋城は1612年築城。天守は太平洋戦争末期の1945年、米軍の空襲で焼失し、59年にコンクリート造りで再建された。天守の木造復元は総工費505億円。名古屋市は焼失前の実測図をもとに再建を進める考え。市の有識者会議は復元計画について、戦災を免れ、特別史跡となっている石垣の保存が十分でないと指摘。市が文化庁から天守木造復元の許可を得る見通しはたっていない。 

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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