<名古屋市議選ルポ> (4)昭和区、中川区
2019年4月3日
今選挙を前に、議長経験者二人を含む五人が勇退を決めた。中川区(定数七)と昭和区(同三)では、後を託された近親者が地盤を引き継ぎ、世代交代を目指している。
【昭和区】
立民から初当選を目指す奥村文悟は厚いサポートを受けながら戦っている。交差点角の演説で、傍らに市議を八期務めて引退した父、文洋。反対側には父と親交のある大村秀章知事が立つ。本人は白いジャンパー姿で高く手を振り若さをアピール。「新たな時代に、皆さまとともに昭和区の街づくりを進めたい」と訴える。
今回から定数が一減し、「大物二世」を三人の現職が迎え撃つ。
二度の落選を経て三期重ねた自民の西川学(ひさし)。自転車で区内を回り、着実に票を固める。朝の川名駅前では「愛するふるさとのために役に立てる男になりたい。防災・減災対策を着実に進める」と宣言した。
三期目を目指す減税の大村光子も支持拡大に懸命。スーパー前で「一番の争点は議員報酬。市民の皆さんと約束した八百万円に再度戻す」と声を上げた。
前回最下位当選だった共産の柴田民雄は集合住宅の前に立ち、「大企業、大規模開発、大金持ち優先の市政を抜本的に方針転換させる」と強調した。
【中川区】
「十二期四十八年を務めた久野浩平のところの、久野美穂でございます」
JR八田駅前で呼び掛けた立民の新人は、勇退議員の長男の妻。隣では義父が顔なじみを見つけては声を掛ける。本人も議長経験者を両親に持つ「サラブレッド」だが、「二人の子を育てる母として、台所の声を市政に届けたい」と庶民感覚をPRしている。
立民のもう一人の新人は衆院副議長の長男・赤松哲次。演説会では父も姿を見せ「私の背中を見て出馬を決意したと言われた。必ず勝たせたい」と会場を沸かせたが、本人は街頭では父の名を強調せず「サラリーマン出身。働く人の代表でありたい」と訴えている。
副議長経験者が引退し公認を一人に絞った公明。木下優は「庄内川より西に住む候補は私一人。この十六年で田んぼと畑だけの地域が区画整理で発展を遂げてきた」と四期の実績を強調する。
二人擁立の自民。歯科医師の岡本善博は各学区で小規模座談会を開き「医療人として医療と福祉、介護政策に力を入れてきた」と説明し、前々回選で父のバトンを継いだ浅井正仁は「今後も税金が正しく使われているかのチェックに力を注いでいきたい」と誓う。
減税も二人を擁立。現職の高木善英は「議員活動の見える化に力を入れてきた」、新人の中川敦史は「議員報酬が高くてもいいと思う人は他党、八百万円にすべきだという人は私に票を入れて」と主張。共産の江上博之は「名古屋城天守の木造化に五百億円を投じるよりも暮らしを守るべきだ」と訴える。
幸福実現党区代表の加藤まり子も出馬した。
=文中敬称略(統一地方選取材班)