統一地方選2019

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<県議選激戦区ルポ> (下)三河

2019年4月2日

■豊橋市

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 東三河唯一の選挙戦となった豊橋市。告示日の三月二十九日朝、届け出を終えた服部が向かったのは、市役所玄関から六十メートル先の選挙掲示板だった。「自分でポスターを張り進めながら支援を訴える」。準備不足は否めないが、公認を得た立憲民主は衆院選比例では市内で善戦。党の看板を頼りに浮動票獲得に期待する。

 立民の出馬で最も危機感を持つのは浅井。前回トップ当選だけに、ショッピングセンター駐車場で開いた出陣式では「浅井は大丈夫とキャンペーンを打たれていると感じる。どうか最後までお支えいただきたい」と深々と頭を下げた。

 「豊橋を自民三人、公明一人のような状況にはできない」。事務所前でマイクを握った下奥も反自民票の分散を懸念する一人。反自公の受け皿を強調し、前回選で十二年ぶりに獲得した党の議席死守を目指す。

 対する自民も十六年ぶりに三人を立てた。中心的な役割が期待される唯一の現職、丹羽は「(自民候補が二人だった)前回の得票を上回るのは至難」と話し、出発式前の事務所では、支援者一人一人に駆け寄って握手を交わした。

 自民で目立つのは、農業経験がありJAが強力に支援する杉浦。出発式には平日午前十一時前にもかかわらず他陣営を上回る約八百人が集まり、威勢良くガンバロー三唱した。一方、市外出身でもともとの地盤を持たない中村も一キロほど離れた駐車場で同じころに出発式を開いた。集まった人数は少ないが、党内三番手の劣勢を自認し「首の皮一枚、(当選枠の)ビリで結構。勝たせてください」と必死に訴えた。

 自民や反自民勢の票の分散がささやかれる中、固い組織票を持つ公明は、五期務めた現職が引退。後を継ぐ荻原は知名度不足が課題で、初日からスタッフと街頭演説を各所でこなし、組織票固めに余念がない。

 (五十幡将之)

■豊田市

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 「世代交代」のうねりが押し寄せる。自民二、旧民進二、公明一の現職のうち三人が勇退。各後継者に加え、共産が二十八年ぶりに候補者を擁立し、八年ぶりの選挙戦に突入した。

 四万人と三万人。自民の鈴木と神谷が掲げた握手の目標人数だ。三月二十九日の出陣式後、ともに降壇するや支援者に駆け寄った。

 市北部が地盤の鈴木は、県議を十一期務めた倉知俊彦(故人)の後継として前回、無投票で初当選。初の選挙戦となる。元市議長の神谷は市南部を地盤に五回当選した三浦孝司の後を継ぐ。二人の知名度不足は否めず、自民以外の陣営からは「まだ投票用紙に『倉知』『三浦』と書く人がいるのでは」との声が漏れる。名前と顔を売ろうと、ともに握手に走る。

 迎え撃つ新政あいち推薦の樹神、桜井は組織型選挙に徹する。ともに国民民主の党籍を持つが、無所属で立った。

 全トヨタ労連の樹神とトヨタ労組の桜井。トヨタ系の工場ごとに投票先が割り振られるため、国民民主や立憲民主といった「色は出しにくい」(陣営幹部)。ともに市議経験があり、労組系候補がトップ当選を飾ってきた選挙区で、旧民進の「王国」を守れるか。

 公明も後継候補の知名度に課題を抱える。党県青年局次長の加藤を擁立し、五期で退く小島丈幸が陣営の事務長に就いた。「安泰とはいえない」と危機感を募らせ、支援者に若い候補を売り込む。

 当選ラインを二万票と読む陣営が多い中、鍵を握るのは、市議五期の実績を持つ大村の得票数。一騎打ちだった二月の知事選で共産候補は一万八千票余りだった。どこまで上積みできるか。自民の陣営幹部は「反安倍や無党派の票を取り込めば、台風の目になる」と警戒する。

 (久野賢太郎)

 =文中敬称略、名簿は届け出順。年齢は投票日基準。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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