統一地方選2019

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<県議選激戦区ルポ> (中)尾張

2019年4月1日

■一宮市

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 二〇一一年の区割り変更以降、五議席を自民系三、旧民進系一、公明一で分けてきた一宮市。今回は自民系四人、旧民進系二人に公明、共産も加わり、激戦の様相だ。

 選挙戦二日目の三十日朝。「女性なら三十代働き盛りに一票を」。戸松陣営がスーパー前で連呼していた。意識するのは国民推薦の女性候補、高橋だ。狙う支持層も重なる。

 民進党分裂で、立民、国民がそれぞれ候補を擁立。過去四回、当時の民主公認で出馬した高橋は経験が強みだが、危機感は強い。「過去一番厳しい選挙だ」

 新人二人、現職二人の自民系も「保守票」の奪い合いは熾烈(しれつ)を極める。

 愛知9区の長坂康正(衆院議員)が佐藤を擁立し、10区の江崎鉄磨(同)も元秘書の平松を立て、それぞれを全面的に後押しする。前回選は江崎の支援を受けた神戸は「一宮の発展を県から支えたい」と出馬。岩村は自身の暴力問題の責任を取り、昨年一月に離党したが「七期二十八年の集大成にしたい」と無所属で立候補を決めた。

 自民系、旧民進系が乱立する構図は、固定票を持つ政党には追い風となるとみられる。前回衆院選に出馬し、尾西地区を除く市内で一万五千票を得た板倉。二十九日の演説会で「党として十六年ぶりに議席を取らせてほしい」と訴えた。

 各陣営の懸念は一月の市長選、二月の知事選での低投票率。固い組織票を持つ木藤陣営ですら「若い人が投票へ行かないのはうちも一緒」と引き締めを図る。

 大村秀章知事は三十日、自民候補の応援演説で「主だった政党が出そろう県内屈指の激戦選挙区」と評した。ある陣営の幹部は言う。「どの候補にも勝機はある。最初に気を抜いた陣営が負けるんだ」

 (植木創太)

■春日井市

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 定数四を六人で競った前回は三〜五位が一万五千票台に乗せながら、当落が分かれた春日井市。今回も五人の候補ともに危機感をにじませ、「一票でも多く上積みを」と咲き始めたサクラを横目に奔走する。

 前回トップの日比は「これまでで一番厳しい戦い。スーツを着ている余裕はない」と綿パンにパーカ、スニーカーで駆け回る。告示日もJR勝川駅周辺の商店街を歩いて握手を繰り返した。子連れの母親たちには「二児の父として子育ての不安や悩みの声をしっかり届けます」と約束した。

 前回、四百六十三票差で惜敗した共産は市議九期の内田で悲願の議席獲得を目指す。告示日の二十九日、内田は地元、高蔵寺ニュータウンを中心に街宣。「今は福祉の充実が最優先事項。皆さんの声を県政に届けます」と、暮らし重視を貫き、大型開発からの転換を掲げる。

 ともに五期目を目指す自民陣営。神戸はチラシに個人演説会の全会場を記し、事務所に初めてキッズスペースを設けるなど、若い世代への支持拡大に躍起だ。女性が活躍する社会などを公約に掲げ、三十日の街頭演説では「女性の持つ力で男性と一緒になってみんなの社会を築くことが、活躍の第一歩だ」と訴えた。

 足場固めを図る伊藤は、こまめに企業や支援者を回り、夕方以降は個人演説会と、地道に今まで通りの戦い方を貫く。演説会場では「楽しい国、楽しい地域づくりのため、どうかご支援をお願いします」と頭を下げる一方、「今回で最後になるだろう」と覚悟を伝える言葉も交じる。

 支援団体が春日井市を「最重要地区」とする公明。市川は「四年前は二位の自分と五位までが千六百十票差の大接戦。今回も似た構図で投票率が鍵となるが盛り上がりに欠ける」と懸念。街頭演説では防災、減災に取り組んだ実績をアピールし「地元の声を県政に届けるため、力を貸してください」と訴えに力を込める。

 (丸山耀平、高岡涼子)

 =文中敬称略、名簿は届け出順。年齢は投票日基準。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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