あなたの街の
事故頻発場所

警察庁交通事故統計(2019-21)

警察庁は2019年分から、全国の交通事故に関する詳細なデータを公開している。誰もが避けたいと願い、多様な対策がとられれている出来事のデータ分析は簡単ではないが、身近で起きた事故の履歴を調べるだけでも、交通安全意識を高められるかもしれない。あなたの街の事故頻発場所を探してみよう。

警察庁が公開している交通事故統計(2019-21年分)によると、全国で発生した人身事故(1人以上の負傷者が伴う事故)は3年間に99万5611件あった。そのうち、正確な発生場所が記録されている99万5463件について、半径50メートル以内に18件以上(2カ月に1回以上)が集中している場所は、全国に1052カ所あった。そのうち161カ所は250メートル以内に学校を抱えている。

新聞などで報道される事故統計は都道府県単位が多い。都道府県警察が交通安全運動の主体になっているためだ。人口が多ければ事故も多いのだから、都道府県で数を比べてもあまり意味がない。とはいえ、事故頻発箇所を地図で概観すると、特徴的な都市が浮かび上がってくる。

全国トップは東京。3年間83688件の発生件数は、81850件の大阪府をわずかに上回った。神奈川は65581件、埼玉が55178件、千葉が42882件だった。首都圏4都県では大阪・兵庫の2倍に近い。甲州街道と環七通りの交差点では3年間に57件を事故が起きた(全国2位)。

静岡県(65147件)は、4大都市圏以外では飛び抜けて事故が多い。東名高速や国道1号などの大動脈が東西を貫いているから仕方がないと想像することは容易だが、事故多発地点が必ずしもこれらの幹線上にあるわけではない。静岡、浜松、沼津の3市周辺にははっきりとした密集地帯がある。浜松市中区には55件を記録した交差点(全国3位)もある。

群馬(31110件)と栃木(12428件)はともに人口約190万人の県だが、交通事故は群馬の方が2.5倍も多い。群馬には頻発場所が23カ所もあるが、栃木には1カ所もない。かくも対照的な2県を並べると、県民性というあいまいな印象ではない、構造的な理由がある可能性がある。

福岡県(68499件)を除くと、九州では宮崎県(16206件)が飛び抜けて事故が多い。宮崎市内には3年間で30件近い事故が起きた要注意交差点が3カ所ある。

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住民から見た交通事故

交通量の多い都市部で事故が多いのは当然だが、住民が事故に巻き込まれる確率という観点でみた場合、「都会ほど危ない」と簡単にはいえなくなる。

全国を1キロメートルの格子に分割し、事故件数を住民人口で割ると、その地域の住民一人当たりの事故の数がわかる。以下の地図は、その値が0.01以上の地域、つまり、住民100人あたり3年間で1件以上の事故が起きた地域を示している。

徒歩や自転車と違って、自動車の事故は必ずしも地元で起きるわけではない。高速道路や幹線道路で起きた事故の当事者はとりわけ、地元の人でないことが多いだろう。とはいえ、都心部では人口あたりの事故は確かに少なく、郊外や地方都市の方が多い。交通量が多いほど運転時の注意は否応なく高まるし、信号や道路構造もすでに改良されているからだろう。

交通事故は、「予想もしない出来事」という辞書通りの意味で事故だ。地方が安全とは限らない。

データについて 地図作成に用いたデータは、警察庁が公開している交通事故統計の2019-21年分を使用した。交通事故統計は、2020年7月17日の閣議決定「官民データ活用推進基本計画」に基づき、初めてデジタル形式で公開された。統計上の死亡事故は、事故後24時間以内に死亡した場合だけを指し、事故を原因として死亡する人はこれより2割程度多いとされる。

事故頻発場所は、全国に10メートル単位の格子点を作り、半径50メートル以内で発生した事故を数えた。そのうち18件以上(2カ月に1回に相当)の点をグループ化し、グループの最多頻度の点を代表点に選んだ。このため、道路沿いに連続的に事故が多発している都市部の幹線道路では、事故頻発地点は過少に集計されている。県境の橋上の事故をどちらの県に計上するかなどの扱い次第で、数値は前後する。